刑事事件

刑事事件

刑事事件における弁護士の役割

このページでは、刑事事件に関わらざるを得なくなった一般の方のために、弁護士を頼むときには何に気を付ければよいのかという観点から、実際的な情報を提供することを目指しています。
さて、刑事事件で被疑者・被告人の側に立つ弁護士を弁護人と呼びます。弁護人の役割は、一言で言うと、被疑者・被告人の権利利益を守ることです。これには、警察・検察の捜査から裁判所の公判に至るまで、被疑者・被告人に助言すること、刑事手続が適正に行われるように監視すること、被疑者・被告人に有利な材料を集めて裁判所などに対して主張することなどが含まれます。
みなさんのなかには、あるいは刑事弁護というのは、悪いことをした人間をかばおうとするものでけしからん、という印象をお持ちの方がおられるかもしれません。しかし、私たちはここで、刑事訴訟の大原則をもう一度確かめておく必要があります。それは、裁判所の審理を経て有罪の判決が確定するまでは、どのような人も無罪として扱われなければならない、という原則です。警察に逮捕されたからといって、その人が犯人であるとは限りません。起訴されたからといって、有罪に決まったわけでもありません。むしろ、誤った事件の見立てによる不当な構図を前提とする逮捕・起訴や、何らかの予断や偏見に基づく不当な逮捕・起訴が、決して少なくないことは、様々な過去及び現在の数々の冤罪事件を見れば明らかです。ですから、逮捕された人や刑事裁判にかけられた人を、そのことだけで悪いことをした人間だ、と決めつけてはならないのは当然であり、刑事事件が適正に行われることを監視し、冤罪を防ぐことが、弁護人が必要とされる主たる理由なのです。冤罪には、無実の人が罪に問われるケースだけではなく、有罪だとしても誤った事実認定により不当に重く量刑されるようなケースも含まれ、そのようなケースを含めれば、日常発生している冤罪事件は、かなりの数に上るのではないかと思われます。
このように刑事弁護人は、法に則って、刑事手続が適正に行われるように求めます。そこには、無実の人に無罪の判決を得させることが当然含まれますし、有罪と判断された人にはその罪に応じた妥当な判決を得させることも含まれます。また、たとい真実有罪の人であっても、捜査官から暴言や暴力を浴びせられるようなことがあってはなりません。弁護人は、そのような行為がなされないよう捜査を監視します。
ですから、不運にも刑事事件に関わることとなった方々は、堂々と弁護人を依頼してください。また、弁護人には、不安や要望を遠慮なく伝えていただきたいと思います。

刑事手続のあらまし

刑事手続は、おおまかには、起訴より前の捜査段階と起訴後の公判の段階とに分けることができます。警察や検察などの捜査機関から犯人であるとの疑いをかけられている人を被疑者といい、起訴された後は被告人と呼びます。
ここでは、様々なバリエーションたる手続は省いて、最も典型的な場合について説明します(それ以外についてお知りになりたい方は、たとえば、法務省刑事局のホームページ にある「刑事事件フローチャート」などをご参照ください。)。最も典型的な場合とは、成年者が警察の捜査を受けて起訴され、裁判所の通常の公判を受けるという場合です。

(1) 捜査段階
A 身体拘束される場合
ア 逮捕
被疑者は、逮捕された時から48時間以内に、検察官に送致されることになっています。
イ 検察官送致
被疑者の身体拘束を続ける必要があるときは、検察官は、被疑者を受け取った時から24時間以内に、勾留を請求します。
ウ 勾留
最初の勾留は、10日間です。 通常の犯罪については、やむを得ない理由があれば、通算して10日間まで延長できますが、この延長は比較的容易に認められます。ですから、勾留期間は20日間に及ぶのが通例になっています。
B 身体拘束されない場合
警察署などに留置はされず、呼び出されて取調べを受けます。このような場合を「在宅捜査」などと呼んでいます。在宅捜査の期間に、制限は特にありません。

(2) 検察官による処分
検察官は、事件の捜査を遂げると、その被疑者について最終的な処分を決めます。処分は、重い順に、公判請求、略式命令請求、不起訴とあります。不起訴処分の主なものは起訴猶予ですが、これは、事件や被疑者の一切の事情を考慮して、その被疑者を訴追しないとする処分です。その事件について被疑者は、刑事裁判にかけられないことになりますので、有利な結論と言えます。

(3) 公判段階
検察官が公判請求すると、公判に移ります。裁判所の公判では、被告人が人違いでないことの確認や検察官の起訴状朗読などの冒頭手続に始まり、証拠調べ、検察官の論告求刑および被告人側の弁論を経て、判決言渡しに至ります。 被告人が罪を認めている場合には、公判は、冒頭手続および審理に1回、判決言渡しに1回の合計2回ということが多いようです。

(4) 刑事手続にかかる期間-身体拘束され、本人が罪を認めている場合
捜査段階に最長約23日 起訴から第1回公判まで、通常、約1か月から1か月半程度 第1回公判から判決言渡しまで、通常、約2から3週間程度

弁護人を依頼する

(1) 弁護人を依頼するべきか?
弁護士の資格を有する者でなければ、刑事弁護人になることはできません。弁護人の役割は、前述のとおり、被疑者・被告人の権利利益を守ることです。弁護人を頼む意味があるかどうかは、事件の内容などによっても異なりますが、弁護人だからこそできることは、やはりあります。犯人であることを認めている場合であっても、被疑者や被告人にとって可能な限り有利な結論が下されるよう尽力することも、弁護人の重要な仕事です。詳細は、東京弁護士会の法律相談Q&A「逮捕・刑事事件」などに説明されていますので、ご参照ください。

(2) 弁護士をどのように探すか?
ア 国選弁護人について
被疑者が勾留された場合には、一定の重い事件については、国選弁護人が選任されます。これを被疑者国選弁護人と言います。一定の事件とは、その犯罪に対する法定刑が、(a) 死刑の場合、(b) 無期懲役もしくは無期禁錮の場合、(c) 刑期の上限が3年を超える懲役もしくは禁錮の場合です。
わたしたちが日常的に見聞きする犯罪のほとんどは、この「一定の事件」の範囲に含まれますので、被疑者国選弁護の対象とならない事件の方がむしろ少ないくらいです。典型的な犯罪の中では、公然わいせつ罪、暴行罪、過失致死傷罪、名誉毀損罪、業務妨害罪、遺失物等横領罪、器物損壊罪などが対象とならない主な例です。
被疑者が起訴された場合は、被疑者国選弁護人がそのまま被告人の国選弁護人を務めるのが通常です。
イ 私選弁護人について
身体拘束をされず、かつ、国選弁護人の対象事件でもない場合には、自分で弁護人を依頼しなければなりません。このような弁護人を私選弁護人と言います。知っている弁護士がいないなど、どの弁護士に頼めばいいか分からない場合には、東京三弁護士会当番弁護士センター(03-3580-0082)など、お近くの弁護士会に相談することもできますが、当事務所にご相談されれば、経験豊富な弁護士が迅速かつ親身になって対応致します。

(3) 弁護人は何をするのか?
ア 罪を認めない場合
被疑者・被告人が罪を認めず、捜査側の主張を争う場合には、被疑者・被告人のそのような主張を法律的に組み立てるのが弁護人の役割です。ですから、そのような場合には、弁護人は、被疑者・被告人の言い分をよく聞き、被疑者・被告人に有利な証拠を集め、検察官や裁判所に対して事実認定や法律論に関する議論をします。
イ 罪を認める場合
実際の刑事事件では、被疑者・被告人が罪を認めていることが大半です。その場合には、検察官による処分や裁判において、少しでも早く有利な結論を得ることが弁護人の目標となります。
検察官による処分や裁判所の判決において、処分や刑の重さを決めるために考慮されるもろもろの要素のことを情状といいます。たとえば、犯罪の動機・目的、犯行の方法、前科・前歴、再犯のおそれ、更生の見込みなどです。そこで、被疑者・被告人にとって有利な情状を1つでも発見し、それらを検察官や裁判所に対して主張することが弁護人の役割となります。 被害者がいる犯罪においては、被害者と示談できるかどうかが、結論に大きく影響します。ですから弁護人は、被害者と示談できるよう努力します。そのためには被害者との折衝が必要になりますが、大抵の被害者は、被告人やその親族などの関係者と直接接触することを望みません。したがって、この種の犯罪においては弁護人の果たす役割が重要ですので、弁護人を頼む意味も大きいと言えます。 薬物犯罪など被害者がいない犯罪の場合でも、被疑者・被告人の反省や更生への意欲などをどう具体的に裁判所に理解してもらうか、また、被告人の真の更生への助力などに関し、弁護人の果たす役割は重要です。

弁護人の費用

(1) 国選弁護人の場合
被疑者や被告人は、原則として、国選弁護人に対する報酬を負担する必要はありません。 ただし、有罪判決の場合に、被告人が訴訟費用の負担を命ぜられる場合がありますが、この訴訟費用には国選弁護人の報酬が含まれています。しかし、訴訟費用の負担は、裁判所に申立てをすれば、免除されることがあります。申立手続の詳細については、事件を取り扱った裁判所にお問い合せください。

(2) 私選弁護人の場合
私選弁護人の費用は、着手金と報酬金とに分けて支払うのが一般的です。着手金は、事件の開始時に、弁護人の仕事の成果と関係なく支払われます。報酬金は、起訴前・第1審・控訴審など手続の段階ごとに、不起訴・無罪・刑の執行猶予など成果に応じて、金額が決められます。 具体的な金額は、事件の難易など個別の事情によるところが非常に大きく、一律にいくらと示すのは困難です。当事務所では、被疑者が罪を認めている事案簡明な事件の場合、着手金の最低金額は、20万円です(被告人の場合は30万円)。

取調べについて

被疑者にはいろいろな権利が認められており、それを知っておくことは、適正な捜査を受けるために重要です。しかし、ここでそのすべてを取り上げることはできませんので、特に重要な供述調書についてのみ、簡単に触れることにします。 被疑者や参考人が話したことを警察官や検察官が聴き取り、記録した文書を供述調書と言っています。現在のところ刑事裁判の証拠の中で、被告人の供述調書が非常に重要な位置を占めていることは否めません。しかも、供述調書の内容を、公判になってから覆すのは至難です。したがって、取調べの段階で誤った供述調書を作られないことが決定的に重要です。
言うまでもありませんが、供述調書は取調官の作文であってはならないので、本来は話した人の言葉が正確に記録されていなければなりません。しかし、現実はそうではありません。犯罪の嫌疑をかけられて逮捕勾留された被疑者は、突然外界から遮断された立場に置かれたことにより、極めて不安定な心理状態に陥っており、他方、逮捕勾留されている被疑者は、取調官に生殺与奪の権限をにぎられているといっても過言ではないため、逮捕・勾留されている被疑者は、真実と異なっているにもかかわらず、様々な理由により、取調官からの有名無形な圧力に抗しきれず、虚偽の供述調書にサインしてしまう事例が、過去から現在に至るまで後を絶たず、この密室における取り調べこそが冤罪の温床になっていることを知らなければなりません。供述調書を作ったときは、誤りがないかどうか被疑者に確かめさせなければならないことが法律で決められていますし、被疑者が供述調書の訂正を求めたときは、その供述を調書に書かなければならないことになっています。しかし、現実に自分が被疑者の立場に立たされた場合、残念ながら、この当然の権利を行使するのに弁護人の助力が不可欠なのが現状です。

保釈について

起訴された後も勾留が続いている場合には、保釈の請求をすることができます。反対に起訴前は、保釈請求はできません。
法文上は、保釈が認められるのが原則ですが、実際は人質司法などと呼ばれ、現状ではなかなか保釈は許されません。裁判所は、検察官に追随して、あるべき法の解釈を曲げて、被告人が証拠隠滅をするおそれを簡単に認めることにより、保釈請求を却下することがしばしばあります。
しかしそれでも、身体拘束からの解放を求めたいならば、弁護人と相談したうえで、準抗告と言う不服申し立てをするか再度の保釈請求をすることも考えられます。保釈が認められるには、いくつかの法定の条件を充たさなければならないうえに、保証金を預ける必要があります。これは一般には保釈金と呼ばれています。保証金額は最近、高額化の傾向にあり、150万円未満で保釈が認められることはあまりないようです。やや重い犯罪では、250万円あるいは300万円となることも珍しくありません。ただし、被告人が逃亡などをしなければ、裁判が終わったときに保証金は返還されます。
そこで、保証金を納める資金を調達しなければなりません。本人や家族が資金を用意できればいいのですが、できない場合が問題です。しかし、保証金の立替えサービスを提供している団体(一般社団法人日本保釈支援協会や日本保釈信用株式会社など)がありますので、その当面準備できる資金がなくとも保釈請求をあきらめることはありません。

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