私的整理について

私的整理について

私的整理とは、裁判所外で行われ、第3者の介入を前提とせずに、債権者・債務者間の話し合いによる任意の合意に基づいてなされる倒産処理の形態を広く指します。
私的整理の利点は、簡易、迅速で、廉価であることと、何よりも秘密保持性が挙げられます。再建型の私的整理は、事業の継続と債務整理を同時に行うものでありますが、倒産の情報が流れるとそれ自体が致命的な影響を与えることが多いからです。
他方手続が不透明であり、手続の公平性についての手続的保障がないところが、欠点であると言われています。公正・衡平の理念に基づいた手続の進行がなされるのであればメリットは大きく、現に大企業などでも、私的整理として、メインバンクを中心とする金融機関などの大口債権者間の話し合いで再生計画が策定されています。
私的整理には、強制力がないため、少数の強硬な債権者がいる場合には、私的整理の成立は困難となりますが、その場合に備えて、手続が頓挫した場合、直ちに法的手続きに移行できるような方法で私的整理を進めることが肝要です。

私的整理ガイドライン

私的整理には多くのメリットがありますが、他方では債務者企業の実情に合わない安易な再建カットがされたり、問題の先送りに止まったりすることも多かったため、金融機関の不良債権処理と企業の過剰債務問題を一体的・抜本的に解決するため、より透明な手続で私的整理を行うことができるように、金融界・産業界の代表者の間での合意として、2001年9月、「私的整理に関するガイドライン」が策定されています。このガイドラインは、あくまで紳士協定であり、法的拘束力や強制力を有するものではありません。

手続きの流れ

  • 手続の対象となるのは、過剰債務状態にあるが、事業を再構築すれば収益力が回復し、債務の減免により債権が可能となる企業に限られます。ある程度の規模の株式会社の再建型の私的整理を対象とするものです。
  • 手続としては、まず、債務者が債権額の多い銀行等主要債権者に再建計画案を提出して、私的整理の申し出をします。
  • 申出を受けた主要債権者は、債務者から提出された資料を精査し、再建計画案の実現可能性ないしその内容の妥当性を検討することになります。
  • 主要債権者は、再建計画案が実現可能であり他の債権者の同意を得られる見込みがあると判断したときは、債務者と連名で私的整理の対象債権者に呼びかけ、一時停止の通知を発し、2週間以内に第1回債権者会議を招集します。
  • 対象債権者からは、通常、取引先債権者は除くものとされるため、事業を継続しながら、金融機関の債務の整理のみが可能となります。
  • 一時停止通知は、私的整理の期間中、対象債権者に対し、個別的な権利行使や債権保全措置を差し控え、通知時の与信残高を維持するよう求めるものであり、その場合、債務者には、例外的な場合を除き、資産処分や債務弁済が禁じられます。
  • 第1回債権者会議では、債務者から、経営破綻の原因、現在の財務状況、再建計画案の内容等が説明されます。それとともに、一時停止の期間、債権者委員会の設置・委員の選任、専門家(アドバイザー)の選任等が決定されます。
  • アドバイザーが選任された場合には、1ヶ月程度の調査に基づき報告書を提出し、債権者委員会はその報告書等に基づき、対象債権者に対し、債権計画案の実行可能性等に関する調査結果報告書を送付することになります。それを受けて、第2回債権者会議が開催され、対象債権者から再建計画案を受諾するか否かの意見が表明されます。
  • 大方の債権者から賛成の意向が表明されたときには、同意書が提出され、全員の同意書の提出により再建計画は成立に至ります。これに対し、相当の対象債権者の賛成が得られない場合には、私的整理終了の宣言がされ、通常は法的整理の申立てがされることになります。このように、このガイドラインに基づくものであっても、私的整理はあくまでも私的整理であり、全債権者の同意を必要とするものです。一部の債権者の反対が強い場合は、多数決による処理が可能な民事再生・会社更生といった法的整理に移行するほかありませんが、金融機関は法的整理に移行した場合と私的整理による場合とのいずれかを選択することを余儀なくされることになります。
  • ガイドラインにおける債権計画案の内容は、債務者が実質的に債務超過である場合は、再建計画案では、私的整理成立後3年以内を目処に実質的な債務超過を解消する必要がありますし、損益の面でもやはり3年以内を目処に経営利益が黒字に転換することを内容とするものでなければなりません。また、株主の権利については、債権者の債権放棄を求める以上、支配株主の権利は株式提供等により消滅させ、一般株主についても減資および新株発行により権利の消滅または価値の減少が求められます。さらに、債権者の負担割合は債権者平等を旨としながら、衡平性の観点から個別に検討すべきものとされています。
  • 以上のように、ガイドラインの求める再建計画の内容は極めて厳しいものであり、また対象債権者全員の同意が原則として必要になるところから、これによる処理には相当の困難が予想され、実際に、これがどの程度の企業の再建に寄与することができるかは、必ずしも定かではない、との意見があります。

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