特別清算について

特別清算について

本来型の特別清算は、解散し清算中の株式会社が債務超過の状態にある場合に、裁判所の監督の下に行われる清算型倒産処理手続であり、破産よりも簡易なミニ破産ともいえる協定型の清算手続として導入されたものです。
その適用対象は、既に解散した株式会社に限定される、特別清算人が、その作成の協定案を債権者の多数決によって可決し裁判所の許可を受け、資産・負債を均等の状態にするように処理をします。

通常の会社が特別清算手続に入るためには、まず株主総会で解散の決議を行う必要があります。
特別清算は、簡易な清算型の倒産手続としての利用の他、親会社が子会社を清算する場合に、課税上の利益(債務免除の損金算入)を得るために利用されることもあります。
本来的には清算の手続ですが、債務を負った旧会社から、事業譲渡または会社分割によって事業の一部又は全部を取り出して、新会社に移転し(第2会社方式)、旧会社は特別清算を行って消滅させ、旧会社の債権者に対して、新会社が旧会社に支払った移転の対価を弁済するか、新会社の債務の引受けにより弁済を行うという形式をとれば実質的に再建型の倒産処理手続として利用できます。
なお、会社分割については、新旧会社間のバランスを欠き、会社分割の濫用として、問題視される案件が少なくないようですので、詐害行為取消、又は否認権の対象とならないような公正さが必要となります。また、弁護士以外の無資格なコンサルタントによる会社分割は、弁護士法違反となるおそれがありますので、注意が必要です。

手続の長短

  • 長所  
    (イ)手続が簡略なので、従来の経営者が残り、迅速かつ柔軟な方法で処理できること。
    (ロ)少数株主の非公開会社、同族会社、親子会社などで解散決議が容易にできる場合に適します。
    (ハ)会社法の通常清算手続きの特別手続として位置付けられるので、倒産のイメージが乏しいです。
    (ニ)総議決債権額の3分の2以上の同意が得られそうな場合、東京地裁を例にとれば予納金が50,000円と極めて低額です。
  • 短所  
    (イ)要件がより緩和され、手続が利用されやすくはなりましたが、依然として協定案の可決要件のハードルが高いこと。  
    (ロ)再建利用型において、旧会社(A)と新会社(B)とは別法人なので、Aが取得していた官庁の許認可などが、事業譲渡の場合は必ずしもBに引き継がれず、会社分割においても引き継がれないものがあるので注意が必要です。

手続の流れ

  • 手続開始申立てに先立って解散の決議をしなければなりません。解散したら清算がなされますが、この場合、債権者に対し、債権を申し出るべき旨の官報公告、知れている債権者への催告がなされなければなりません。
  • 手続開始申立ての要件は、
    (イ)清算の遂行に著しい支障を来すべき事情のあること、
    (ロ)債務超過の疑いがあることです。   
    なお、債務超過でなければ特別清算でなく、(通常)清算として残余財産の分配がなされます。手続の簡易化のため、否認権は認めていません。   
    清算株式会社に対する債権を協定債権といいます。
  • 協定案の可決の要件は、出席債権者の過半数で総議決債権額の3分の2以上です。旧商法では、賛成の債権額が4分の3以上でしたが、会社法では、要件がより緩和されました。   
    協定は、債権者の多数決によって定められる当事者の合意といえます。その結果、協定は、破産手続とは異なり、実質的な平等を図るため、債権の額(少額かどうか)、種類(商取引債権かどうか)等によって異なる扱いをすることが可能です。   
    実務上、債権者数が少ない場合(多くは、対税型)は、協定(協定型)でなく、債権者との個別和解(和解型)によれば、債権者集会を行わなくて済むなど手続を簡易化できて処理機関も短くなります。

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