労働問題に関するトラブル

Q & A

解雇に関する問題

一方的に、勤務している会社を突然解雇されてしまいました。このような会社にしがみつく気もしないので、受け入れようと思いますが、最低限、主張できる権利にどのようなものがあるでしょうか。教えて下さい。
1)御質問だけでは、どのような理由で解雇されたということが不明でありますが、御質問者に会社の就業規則に定める懲戒解雇事由に該当するような事情が存在しないという前提で回答させていただきます。
また、そもそも、会社から一方的に解雇されたとしても、その解雇が「客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、法的に解雇は無効(労働契約法第16条)ですので、その通告を受け入れる必要はありません。
したがって、この点も御理解しておいて下さい。
2)以上を前提に、解雇を受け入れた場合、まず、この解雇通告が、いきなり「明日から来なくて良い」というものであれば、平均賃金の30日分の手当を支払うことを要求できます(労働基準法第20条2項)。
また、その解雇が違法なものであるような場合、その程度により、相当な逸失利益、慰謝料の請求が可能となることもあります。具体的にどの程度の金額が請求できるか等は、事案によって異なってきますので、御相談頂きたいと思います。
一方的に勤務している会社を突然解雇されてしまいました。私としては、なぜ解雇されなければいけないのか、納得できません。法的に争いたいと思いますが、争う方法はどのようなものがありますか。
1)前1で、回答したように、会社側からの解雇通告が、労働契約法第16条に違反する場合には、解雇が無効となります。御質問だけでは、この解雇通告が法的に有効か無効か不明であり、その点を論じるのは、更に具体的な背景事情のお話しをお聞きしなければいけませんので、ここでは、解雇が無効であると主張することが十分可能であるという前提で争う手続、手段について回答いたします。
2)争う手続として、我々弁護士が行う方法として、大きくは、裁判所を利用しない交渉手続、利用する手続に分かれ、任意の交渉手続で、会社側が解雇を撤回する場合もありますが、そうでない場合もありますので、以下では、裁判所を利用する方法について簡単に説明し、そのメリット、デメリットを説明します。
a.本案訴訟手続
裁判所に対して、解雇の無効を主張し、労働契約上の地位を確認するとともに、解雇通告後の未払賃金、場合によっては、併せて損害賠償の請求を正式な訴訟提起で行う手続です。この手続は、法的な最終解決手続であり、この手続で、最終的な勝訴判決を取得することによって、地位は安定します。しかし、この手続は、訴訟提起したとしても、判決もしくは和解による解決があるまで、相当程度の日数がかかり、次に説明する賃金仮払い仮処分の手続をしないでいると収入なしで戦わなければいけないというデメリットがあります。
b.仮処分手続
aで述べた本案訴訟提起の前、もしくは事実上の解決手段として、賃金仮払い仮処分手続があります、この手続は、その本来的な目的として、aの本案訴訟手続の提起前に、裁判を戦い続けるための収入の確保目的で行なわれる保全処分手続にあります。この仮処分が認められると、一定期間(東京地方裁判所では1年間と期間を限られることが多い。)賃金の仮払いが認められ、無収入で裁判を継続しないで済みます。しかし、実際上、この仮処分を申立てると、労働者側、会社側の双方が裁判所に呼び出されて、審理が行なわれ、この審理中に解決策が裁判所を通じて話し合われることが多く、和解が成立する例が一般的でもあることから、最終解決手続として利用もされています。この手続は、本案訴訟に比べ、裁判期日の間隔が短い傾向もあり、早期解決も期待できます。一方、話し合いが、仮処分の審理の中でできなければ、あくまでも最終的には、本案訴訟で決着をつけることになります。
c.労働審判手続
平成17年から始まった制度であり、従前の本案訴訟、仮処分がどうしても解決まで長期間かかる傾向があったことに比べ、この手続は、3裁判期日で審理を終了させ、それまでに当事者間で裁判所の調停に基づき解決するか、裁判所の審判が出されるという、何よりもスピーディな部分が長所です。
裁判所の審判には、異議の申立て(2週間以内)ができ、その後は、aの本案訴訟に移行するのですが、実際は、この手続で解決することも多くなっています。
そして、実際の運用としても、申立てから3ヶ月以内で7割程度の紛争は解決しています。
一方、以上のような短期間の手続で終了しますので、事案が複雑であったり、細かい残業代の計算で双方の言い分が異なったり、整理解雇が有効か無効かといったような場合はこの手続は不適切とされています。以上、大雑把にそれぞれの手続の説明をいたしましたが、具体的な事案によって、どの手続を選択すべきかということについては変ってきますので、御相談いただきたいと思います。
当社の従業員で、無断で休んだり、直属の上司の指示を無視する者がおり、業務に支障が生じています。この従業員を解雇したいと考えていますが、どのようにしたら、法的に問題なく解雇できるでしょうか。
原則として、解雇の有効、無効は、前1、2で述べている労働契約法第16条に照らして是認されるか否かということです。
そして、裁判例の多くが要求するものとしては、何の注意処分もせずに、いきなり解雇通告という方法は認められず、まず、当該従業員の不適切行動、御質問の点でいう、無断欠勤、職務命令違反の是正を通告し、是正の機会を与え、それにもかかわらず、不適切行動を繰り返すといった行動があった場合に解雇が認められることになると思います。
この場合、一度目の注意は口頭、ニ度目は書面といった手続を踏み、後々の証拠を残すことが望ましい(仮に裁判になって、口頭のみであれば、言った言わないといった争いを避けるため。)でしょう。
更に、解雇をする場合、就業規則上、懲戒解雇が規定されていたとしても、直ちに懲戒解雇ができるとは限らず、その不適切行為が著しい場合でなければ、難しいこともあり、通常解雇の方法を採ったほうが無難なことがありますので、具体的な解雇方法についてはケース・バイ・ケースで御相談頂きたいと思います。
いずれにせよ、解雇する場合、会社側として手順を踏んで、当該従業員に是正の機会を与えることが重要と思われます。
当社の男性従業員と女性従業員がいずれも結婚しているにもかかわらず、不倫関係にあることが判明し、当該部署にいる従業員のほとんどが、その状況を知るに至ってしまいました。このような状況を放置しておくと、社内の士気に良い影響を与えないと思われますので、できれば解雇処分にしたいと思いますが、可能でしょうか。
結論としては、ケース・バイ・ケースというしかないと思われます。
まず、原則として、職場における不倫関係は、一般的には、私生活上の行為と理解され、懲戒解雇もしくは普通解雇の対象とはならないと考えられています。
しかしながら、その関係が、会社の社会的評価に重大な悪影響を与える場合には、組織運営秩序違反として、懲戒解雇の対象となるということを認める裁判例もあります。
一方、別の裁判例では、その不倫関係が企業運営に具体的な影響を与えたと認めるに足りる事実が不存在であるという理由で、解雇を認めなかったものがあります。したがって、御質問者の会社の職種、具体的に生じている悪影響の内容及び程度、当事者一方もしくは双方の配置転換等の検討が欠かせないと思われます。
上司にセクハラを受けて、退職せざるを得なくなってしまいました。 私としては、非常に不本意です。 会社もしくは、当該上司にどのような請求ができるでしょうか。
1)会社側には、一般的に従業員に対し、働きやすい職場環境を保つような措置をとる注意義務が労働契約上、存在すると考えられています。この見地から、厚生労働省の告示(平成18年告示615号)、男女雇用機会均等法第11条等で、かなり細かい指針が定められ、会社側は、いわゆるセクハラ行為が起きないように、労働者に周知、啓発したり、相談窓口も整備し、セクハラが生じた場合に適切に対処することを義務づけられています。
2)御質問者がこのような措置を利用されたか否かは、不明でありますが、現実に会社に留まることが精神的に酷であるというようなセクハラを受けたのであるならば、会社に対しては、会社自らの不法行為責任(民法709条)、従業員である上司に関する使用者責任(民法715条)、前述の措置義務に関する債務不履行責任を問う余地は十分にあると思われます。
また、当該上司に対しては、不法行為責任の追及ができると思われます。具体的な損害賠償額等は、事案によると思われますので、御相談いただきたいと思います。

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